NAKAMURA Hiromine








Statement
「もしも江戸時代の腕の良い人形師が現代にタイムスリップしてきたら」
これが私のここ数年取り組んでいる作品に共通する仮定である。だから、私の作品は自分の作品であって、自分の作品でないのだろう。
自分とは違う誰かの、ただあまりにも違いすぎることはない、一生かければ目指すことのできそうな、そんな人物を想像して技術を練磨し、制作にあたっている。
そして目は、今を見ている。
「人形は『人』の祈りを『形』にしたもの」
「人形とは何か」と質問されればよくこう答えているが、昨今その意味が肚からわかるような気がする。
ここのところ、人間の無力さ、脆さ、傲慢さ、虚しさなどが一気に溢れ出したような日々だが、そんな中で人は様々な行動をとる。
善行もあれば悪行もある。同じ人の中にもそれらは同時に存在する。そして、祈りもそこにある。きっと。
思えば人は、はるか昔から傲慢だったし、無力で脆かった。だから祈ってきたのだろう。
展示のキャプションに書きはしないが、祈りこそが実のところ人形の最大の素材であり技法だ。そして、用途でもある。
これが用の美の究極の姿かもしれない。
江戸時代の人形師が今のこの世界にタイムスリップしてきたら、人々の祈りの内容が多種多様で複雑になりすぎて困惑するかもしれない。
しかし、それが腕の良い正真正銘の人形師であれば、清濁併せ飲んだ上でその中から価値ある祈りの原石を見つけ、一つの作品に磨き上げてみせてくれるだろう。
それを私はこの目で見たい。
これが私のここ数年取り組んでいる作品に共通する仮定である。だから、私の作品は自分の作品であって、自分の作品でないのだろう。
自分とは違う誰かの、ただあまりにも違いすぎることはない、一生かければ目指すことのできそうな、そんな人物を想像して技術を練磨し、制作にあたっている。
そして目は、今を見ている。
「人形は『人』の祈りを『形』にしたもの」
「人形とは何か」と質問されればよくこう答えているが、昨今その意味が肚からわかるような気がする。
ここのところ、人間の無力さ、脆さ、傲慢さ、虚しさなどが一気に溢れ出したような日々だが、そんな中で人は様々な行動をとる。
善行もあれば悪行もある。同じ人の中にもそれらは同時に存在する。そして、祈りもそこにある。きっと。
思えば人は、はるか昔から傲慢だったし、無力で脆かった。だから祈ってきたのだろう。
展示のキャプションに書きはしないが、祈りこそが実のところ人形の最大の素材であり技法だ。そして、用途でもある。
これが用の美の究極の姿かもしれない。
江戸時代の人形師が今のこの世界にタイムスリップしてきたら、人々の祈りの内容が多種多様で複雑になりすぎて困惑するかもしれない。
しかし、それが腕の良い正真正銘の人形師であれば、清濁併せ飲んだ上でその中から価値ある祈りの原石を見つけ、一つの作品に磨き上げてみせてくれるだろう。
それを私はこの目で見たい。
Profile

中村弘峰
中村人形 四代目
- 1986年
- 福岡県福岡市生まれ
- 2009年
- 東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
- 2011年
- 東京藝術大学大学院
美術研究科彫刻専攻修了 - 2011年
- 人形師で父の中村信喬に師事
- 福岡県 太宰府天満宮 干支置物制作
- 博多祇園山笠 土居流 舁山制作
個展
- 2014
- 「スサノオ〜神々の肖像〜」ギャラリーマルヒ/東京
- 2018
- 「Tiny Spirits」現代陶芸釉里 /福岡
- 「MVP(Most Valuable Prayers)」美術画廊×日本橋髙島屋/東京
- 2019
- 「SUMMER SPIRITS」POLA MUSEUM ANNEX/東京
- 「Fine Pray !」横浜髙島屋美術画廊/神奈川
- 2020
- 「Prayer & Player」レクサスさいたま新都心/埼玉
- 2021
- 「祈るための道具たち(前期)」日本橋木屋 ミッドタウン店/東京
- 「祈るための道具たち(後期)」日本橋木屋 日本橋本店/東京
- 「Green eyes」高島屋京都店・大阪店巡回
- 「GREAT MISSION」福岡三越美術画廊/福岡
- 2022
- 「化身」日本橋高島屋/東京
グループ展
- 2009
- 「アトリエの末裔あるいは未来」台東区書道博物館/東京
- 「彫刻の五・七・五」沖縄県立芸術大学/沖縄
- 2010
- 「東方三博士の彫刻」展 藝大アートプラザ/東京
- 「PLAYROOM~ゲエムは生活の頂点だった~」Gallery artsynapse/東京
- 2011
- 「 帰ってきた りったいぶつぶつ展 ~現代作家による立体アート~」
- Bunkamura Gallery/東京
- 2012
- 「豊福智徳プロジェクト」 太宰府館/福岡
- 2014
- 「MOA岡田茂吉賞新人賞部門」招待出品 MOA美術館/静岡
- 2017
- 「東美アートフェア」東京美術倶楽部/東京
- 「蒐集衆商」スパイラルガーデン/東京
- 「九州次世代展」九州国立博物館/福岡
- 2018
- 「立体新旗手展-それぞれのカタチ-」日本橋三越/東京
- 「蒐集衆商」スパイラルガーデン/東京
- 2019
- 「Small Impact」KUNST ARZT/京都
- 2020
- 「Assemble -集積する技法と身体-」伊丹市立工芸センター/兵庫
- 「Christmas Smile チャリティーオークション POLA MUSEUM ANNEX/東京
- 2021
- 「工芸的美しさの行方 素材・表現・装飾」三越日本橋本店 コンテンポラリーギャラリー/東京
- 「第29回アジア国際美術展」九州芸文館/福岡
- 「PARA HEROes展」渋谷区役所/東京
- 髙島屋190周年記念「悉皆 風の時代の継承者たち」/髙島屋全国巡回
- 「GO FOR KOGEI 工芸×Design 13人のディレクターが描く工芸のある暮らしの姿」/石川
- 「中村人形と太宰府天満宮」太宰府天満宮宝物殿/福岡
- 「Fine Art Asia」アートフェア/香港
- 「Find your travel展 チャリティーオークション」POLA MUSEUM ANNEX/東京
- 「KOGEI Art Fair Kanazawa 2021」ハイアットセントリック金沢/石川
- 2022
- 「現代工芸の展開」金沢市立安江金箔工芸館/石川
- 「工芸3.0」博多阪急/福岡
- 「SPRING IS AROUND THE CORNER チャリティーオークション」POLA MUSEUM ANNEX/東京
受賞
- 2006
- 第1回藝大アートプラザ大賞 大賞受賞
- 2007
- 第2回藝大アートプラザ大賞 準大賞受賞
- 2008
- 第3回藝大アートプラザ大賞 大賞受賞
- 2009
- 日本芸術センター第1回彫刻コンクール 審査員賞受賞
- 三菱地所賞受賞(東京藝術大学卒業制作)
- 2013
- 第60回日本伝統工芸展 初入選 新人賞受賞
- 2014
- 第49回西部伝統工芸展 初入選 日本工芸会賞受賞
- 2015
- 第50回西部伝統工芸展 福岡市長賞受賞
- 2016
- 第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ コンペティション部門 優秀賞受賞
- 2017
- 伝統工芸創作人形展in金沢 中村記念美術館賞受賞
- 2019
- 第54回西部伝統工芸展 日本工芸会賞受賞
- 2020
- 九州芸文館トリエンナーレ 大賞受賞
- 2021
- 西部伝統工芸展 日本工芸会賞受賞
- 2023
- 福岡県文化賞奨励部門受賞
パブリックコレクション/モニュメント
- 2016
- 古代力士像 住吉神社/福岡
- 2022
- 大名の大狛犬 福岡大名ガーデンシティ/福岡
メディア掲載
- 2023
- muto web版 傀藝堂開廊